函館市内で生まれ育ったわたしには、ひとつ確かめたいことがありました。函館山自体、もう数え切れないほど訪れていますが、それなのに小学生行けてない場所がありました。それは、明治時代に作られた「函館要塞」です。小学生のわたしが函館要塞を訪れた時、「防空壕だ!」と思ったんですが、改めて調べて見ると、函館港を守るために作られた軍事要塞だったんです。今回は、この函館要塞跡を改めて訪れたレポートです。
夜景が有名な函館山には、戦争に備えた軍事要塞があった。
函館山の場所。
今回訪れた函館山は、100万ドルの夜景でおなじみの観光スポットです。山頂から見える函館の夜景は、扇子を広げたような形に見えます。
函館の市街地が扇子の扇面ならば、函館山は要から下、つまり手に持つ部分にあたります。ちなみに、市街地にある五稜郭公園から函館山の麓までは5kmほど。函館はとてもコンパクトな街なのです。時々、渡島半島を函館と函館山だと勘違いしている人がいますが、函館山は周囲9km程度の小さな山で、渡島半島と比較すると豆粒程度のサイズ感です。
ちなみに、函館山は独立峰ではありません。13の山々(御殿山・薬師山・つつじ山・汐見山・八幡山・水元山・鞍掛山・地蔵山・入江山・エゾダテ山・観音山・牛の背山・千畳敷)からなっていて、その総称として函館山と呼ばれています。
北海道遺産「函館山と砲台跡」は、当時の形のまま一般公開されている。
「函館山と砲台跡」は、2001年に北海道遺産に選定されています。これだけの軍事施設が残されているのは全国的にも珍しく、また軍事施設として使われていた約半世紀の間、一般人の立入が規制されていた背景もあって函館山には貴重な動植物が残っているのです。これらにより「函館山と砲台跡」は北海道遺産となりましたが、一般公開されている要塞跡は当時の形のまま見学できる状態になっています。つまり、明治時代に作られた状態で存在し続けています。
ラピュタのような廃墟・函館要塞の施設について。
函館要塞の施設は全部で18箇所ありますが、現在一般公開されているのは6箇所だけ、①御殿山第2砲台、②千畳敷砲台1、③千畳敷砲台2、④薬師山砲台、⑤千畳敷戦闘指令所、⑥入江山観測所です。今回は①〜⑤を見学しましたが、⑥は訪れていないので、いつか訪れた時に、改めて追記したいな。
また、今は一般公開されていない砲台跡も多数あります。これらをネットで調べているうちに、現在は見学できない要塞跡を撮影・アップロードしている方がいました。函館山裏側の穴間要塞跡とか。
立待堡塁跡とか。この廃墟感、ラピュタ的ではありませんか。今にもパズーとシータが出てきそう!
不安定な道を歩きながらの撮影でしょうに、動画のブレが非常に少なく、とっても見やすい!函館要塞跡に関する貴重な動画が多数上がっているので、とても興味深く何本も見させてもらいました。burenaikunさん、動画撮影とアップロードをありがとうございます!
函館山に登るなら「函館山ふれあいセンター」を活用しよう!
わたしは大人になってから何度か函館山を登っています。その度、小学生の時に訪れた要塞跡を探すのですが、まあ、そんな簡単に見つからないのです。函館から出て生活しているわたしには、函館山を探索する時間も限られてますし... そろそろ自力で探すのを諦め、効率化をはかろうと、ある施設に協力をお願いしました。それが「函館山ふれあいセンター」です。
函館山ふれあいセンターとは。
函館山ふれあいセンターは、函館山登山者に対して情報提供をしてくれる施設です。植物や野鳥、動物、昆虫などの他、函館山マップの配布や登山道などの案内もしてくれます。またボランティアガイドによる散策ツアー(要予約)も実施しています。函館山をより詳しく知るならば、函館山ふれあいセンターの利用が最適ですし、わたしも函館要塞跡の見学希望ということを事前に電話連絡し、案内してもらいました。
函館山ふれあいセンターの場所。
函館山ふれあいセンターは、函館山の麓にあります。函館山ロープウェイ乗り場や函館護国神社、函館公園にも近く、また一方通行の登山道路沿いにあるので、場所を把握していないと函館山の頂上まで行って帰ってこなければなりません。車で訪れる際にはしっかりと確認してから訪れたいものです。
建物の内部(展示物、トイレ、自販機など)。
この日、わたしは職員の方と朝10時に函館山ふれあいセンターの建物で約束をしていました。8月の平日朝10時前には駐車場が満車状態です。登山者が停めているでしょうから、このまま数時間は満車が続くのだろうなと思いつつ、建物の中へ向かいました。
建物の内部には、休憩スペースと函館山に関する様々な展示物があります。
函館山散策コース案内の大きな案内図もありました。ここで職員の方にこの日のルートを伺います。今回の登山では、旧登山コースから千畳敷コースに入り、薬師山コースを経由して下山するルートです。
函館山のいたるところにあったであろう大きな大砲のミニチュアがありました。気分が高まる!
軍事機密がいっぱいだった函館山は、戦時中は撮影を禁じられていたようです。この写真右上にある写真は戦前の十字街付近の写真だそうですが、函館山の姿が人為的に消されています。写真下部には要塞司令部許可済という文字も入り、軍が許可したものとわかるようになっています。これらを見ているうちに、山頂から市街地の眺めや夜景を楽しむだけの現在と、戦前・戦時中とでは、函館山の役割が大きく異なっていると理解し始めました。
この建物の中にはフリースペースやトイレ、建物外には自販機もあって、登山の前後に休憩できます。気軽に立ち寄っちゃいましょう。
登山当日の格好と持ち物(8月中旬の晴れた日)。
この日は8月中旬の晴れた日でした。8月の函館の最高気温は26度前後と、登山にぴったりの爽やかな気候です。しかし、山中では思わぬ虫に会うかもしれないので、長袖・長ズボンで登山に向かいました。具体的には、スニーカー、ジーンズ、長袖のラッシュガードといった格好です。また、日焼け止めや帽子を持って行きました。両手を空けたかったので、マザーリュックに荷物を詰めて背負います。荷物は最小限で財布、タオル、お水、ランチ、カメラ、スマホ程度です。持って行き忘れたのが、虫除けスプレー。草をかき分けて歩き回ると汗をかくので、蚊も寄ってきます。お水は500mlペットボトル1本では足りませんでした。2本は必要だったな。
山中でハチかアブに追いかけられ、ヒーヒー言いました。長袖・長ズボンでよかった... 足元が悪い場所も何箇所もあったので、夏場でもサンダルとか軽装ではなく、アクティブに動ける格好が好ましいです。登山道がある程度整備されているので、登山靴ではなくスニーカーで十分だと思います。
「函館要塞跡」を巡る3時間半の函館山登山レポート。
朝10時過ぎ、旧登山道を登り始める。
函館山ふれあいセンターの職員さんと顔合わせをし、朝10時過ぎには山登りを開始して函館要塞跡を目指しました。まずは旧登山道入り口から山頂方面へ。旧登山道はしっかりと整備され、このあたりは緩やかな傾斜で登りやすいです。
すると、さっそく函館要塞時代の旧要塞貯水槽が現れました。函館山には川がなく、水を確保するために雨水を貯める貯水槽が必要だったそうです。
こちらもお水にまつわるもの。ちょっとわかりにくいけれど、草木に隠れて石張りの水路があるんです。これも函館要塞時代に作られたもので、雨水を効率的に運ぶためのものですね。今でもそのまま使われていて、山歩きの途中でせせらぎを耳にできます。
函館山を登っていると、至る所で観音像を見かけます。函館山には三十三観音像があるんだそうです。1830年頃、西国三十三霊場の土と観音像を函館山に安置した方がいたそうで、移土観音とも呼ばれています。函館山が要塞として一般人が立入禁止になった時には三十三観音像も別の場所に移されていたそうですが、戦後改めて再安置されたそうです。
最初に目指すは「千畳敷第一砲台」。
旧登山道を登っていき、途中から千畳敷方面へと向かいました。歩いていると草木の隙間から立待岬方面の眺めも楽しめます。山の麓まで、民家がぎっしり並んでいますねぇ。
こちらは何かわかるでしょうか。ただの緑が生い茂った写真ではありません。よく見ると石垣とその奥に四角く口を開いた洞窟のような穴が見えます。火薬庫か何かだったんでしょうか。このような要塞跡が登山道沿いに点在していて、その度にテンションが上がるので疲れ知らずでした。
急に道がひらけ、千畳敷第一砲台が目の前に現れました。わかりにくいですが、石垣の手前、丸っぽく草が生えている部分が砲台跡です。ここには28cm榴弾砲が6門あったそうです。函館湾を守るように射撃方向を設定していたようです。
この要塞跡だけではありませんが、函館山にある砲台跡は石垣の壁が設けられていて、砲座の向きを隠していたそうです。敵に射撃方向がバレないようにしていたんですね。
千畳敷の高台から、函館山山頂と市街地を眺めます。ここからの写真はとても珍しいと思います。一般的な観光では、ロープウェイ乗り場のある山頂から景色を眺めて終わりだもの。ここから山頂を眺めると、てっぺんが真っ平らだとわかります。山頂に御殿山第一砲台をつくるため、山頂を削り、標高348mから334mになったと言われています。こちらは現在は一般人の立ち入りはできません。
こちらは木古内や松前方面の眺め。千畳敷第一砲台はこの方角に射撃方向を定めていたそうです。敵が津軽海峡から函館湾に入ってこないよう守っていたのですね。
千畳敷にはこのような壕があります。長年雨風に晒されて崩落の恐れがあるようで、危険なので立ち入りができません。
ああ、小学生の遠足で、こういう地下壕で遊んだ記憶が蘇ってきました。しかし千畳敷第一砲台跡とは異なる絵が脳裏にあるので、この場所ではないのでしょう。そこはかとないラピュタ感をヒシヒシと感じつつ、先へ進みます。
草木をかき分け「千畳敷戦闘指令所跡」に到着。
函館山ふれあいセンターの職員さんに案内してもらい、山道を進みます。道らしい道とはいえないし、まさしく獣道だなぁと思ったのですが、これはまだマシな方なんだって。マムシとか出てくる場所もあるそうなので、山歩き時はご注意ください。
暫くすると、急に人工的な建物が現れました。これが千畳敷戦闘指令所の入り口だそうです。異様な雰囲気でちょっと怖いくらい。一人だったらビビッて入れなかったかもしれません。
内部へ進み、振り返ってみると、廃屋と緑のコントラストが美しく... この千畳敷戦闘指令所は、他の要塞跡よりもしっかりと建てられているようで、あまり風化も進んでいませんでした。日が入りにくく、更に4重構造の作りのため、外気より気温が低いように思いました。
さらに進むとレンガ造りの施設内部をしっかり見学できます。この千畳敷戦闘指令所は函館要塞全体の指揮をとる場所であり、作戦室や観測所などがあったそうです。
こちらは千畳敷戦闘指令所から伝達を行っていた電話室。設置された電話を使い、交換手が各砲台へ連絡していた場所なんだって。
天井には丸い穴。
こちらは電話室と作戦室から地上に上がる階段。一部欠けているところもあるけれど、今でも問題なく普通に上り下りできます。明治38年(1905年)に作られ、山の上で吹きさらしにされているのに、これだけしっかり残っているって、すごいわ。
地上に上がって千畳敷戦闘指令所全体を眺めます。教科書に載っている遺跡のような外観でした。アーチ型の窓の奥には電話室が左右4つずつあります。写真右奥に見える函館山山頂へ行くよりも、千畳敷で要塞跡めぐりするほうがよっぽど楽しい!
千畳敷戦闘指令所には観測座もあったんだって。この丸い台に測遠機が置かれていたそうです。確かに眺めがよかったなぁ。この場所から敵船を見つけ、各砲台へ連絡するのが最適だったことを、身を以て感じました。こういう体験するためなら、何度でも山に登りたい!
千畳敷休憩所で小休止。つつじ山駐車場へ向かう。
千畳敷戦闘指令所から少し先に、千畳敷休憩所があります。ここで小休止して、次へ向かうことにしました。この写真は、千畳敷休憩所までの道の一部です。斜面に沿って階段がありますが、草ボーボーの山道です。何が出てくるかわからないし、サンダルでは通りたくありません。
千畳敷休憩所はこの数年で整備されたのか、綺麗な東屋が2つありました。ここで日を避けながら暫し休憩。おかん特製ホットサンドでカロリー補給です。函館山ふれあいセンターの職員さんの函館にUターンしてきた話や、一度外に出たからこそわかる地元のメリット・デメリットをヒアリングしたりして親睦を深めました。
先にも書きましたが、函館山の山道には至る所に三十三観音があります。最初のいくつかはそれっぽく手を合わせてみたけれど、途中からは素通り... 信仰心がなくてごめんなさい。
函館山は標高が334mしかなく、また多くの登山道は道幅もありとても歩きやすいんです。これらの登山道はもともと軍道として整備されたもので、こんなところにも函館要塞の恩恵が残っているのか、と驚きました。
登山道が急にひらけました。函館山の山頂より少し低い場所にあるつつじ山駐車場に到着です。多くの観光客はまっすぐ山頂へ行ってしまうので、つつじ山駐車場にはあまり人がいません。駐車場脇にはトイレも設置されています。我々はここからすぐの御殿山第二砲台へと向かいました。
「御殿山第二砲台」に既視感。ついに思い出の地を発見!
つつじ山駐車場からすぐの場所に、御殿山第二砲台跡があるそうです。ガイドをしてくれている函館山ふれあいセンター職員さんに遅れを取らないようわたしも向かいます。この時点で登山開始から2時間ほど経過。まだまだ元気です。
しかし、この階段が結構ハードル高くて... 急な角度なだけではなく、階段の幅も狭いのです。歩きにくい、しかし登らねばならない。ハァハァ言いながら登りました。喉が乾くためどんどんお水を飲むのですが、そろそろ水がなくなりそう。500mlのペットボトル1本では足りませんでした。山登りの途中で自販機はないので、登山前にお水を2本買っておけばよかったわ。
このあたり、草木に覆われてはいるものの、大人が1人歩ける幅の道があるので、ぐいぐい突き進みます。すると別の要塞でも見たような人工物が出てきて...
御殿山第二砲台の通路と、地下の砲側庫に続く階段が現れました。つつじ山駐車場から、ここまで歩いて5分とかかっていません。近い!
この砲側庫に続く階段は、立ち入りが禁止されています。この階段、わたしの昔の記憶と瓜二つなのです。階段を降りて砲側庫の中まで入り、「防空壕!」と思ったあの記憶とそっくり。それを函館山ふれあいセンターの方に告げると、「30年前は立ち入り禁止になっていなかったろうし、当時自由に入って遊べた可能性は大いにある」とのこと。わたしはここ御殿山第二砲台に来たんだ。やっと見つけられた!
御殿山第二砲台にも砲座跡があり、それを取り囲むように壁が設けられています。その上には生い茂る木々。
御殿山第二砲台には28cm榴弾砲が6門あったそうです。こんなに立派なものを築いておきながら、函館要塞の大砲は実戦で一度も使っていないそうです。砲座跡は今は草だらけになっていますが、そういえば、この丸い部分って昔は木製の丸いテーブルと椅子があったような... 当時の写真があればどなたかご提供願います。
砲座を取り囲む石垣に、丸くて長い穴があけられていました。これは伝声管で、司令係と砲台係がこの穴を使って連絡を取り合っていたそうです。函館山ふれあいセンターの職員さんと伝声管を使って話をしたのですが、声はしっかり通るし、話もしっかり聞こえました。それぞれの持ち場を離れることなくやりとりできるので、便利だったでしょうね。
御殿山第二砲台の突き当たりに、階段があります。これを登って次へと向かうのですが、この階段が幅が狭く、垂直に上り下りしなければならないので、結構ハードルが高いです。階段を登りきった先も階段が続きます。この辺りの廃墟の苔生し感はラピュタさながら。好きな方は好きだろうなぁ。わたしもこういうのにハマるタイプです。
崩落の「薬師山砲台跡」に哀愁美。
御殿山第二砲台の見学後は、薬師山コースに入ってこの日最後の目的地となる薬師山砲台を目指します。薬師山コースは見ての通りの獣道。わたしのような素人が単身で歩いたら、遭難するのでは?と思いました。函館山って基本的にペットの入山OKなんですが、登山道によってはNGな場所があるようです。この薬師山コースがまさにそれで、入り口にNGマークが掲げられていました。
山道の途中、地中に木枠を埋め込んだ階段がありましたが、これはマシなところ。足元は常に不安定で、歩きながらカメラ撮影なんて危なくてできやしませんでした。滑落はしないだろうけれど、足元を見ていないと何かに突っかかってコケそう。
そんな薬師山コースですが、途中、視界が開けたところにベンチが置かれていました。残り少ない水分補給を流し込みながら、普段とはちょっと違う函館市街地の眺めを楽しみます。いろんな景色を楽しめて、登山って面白いなぁ。
登山道を歩いていると、函館要塞などに関する説明が目に入ります。今回の里帰りでは、この函館要塞を含む様々な場所を訪れました。地元を深く知ることができて、本当によかったな。
そんなことを思いながら歩いていると、薬師山砲台跡の入り口に到着です。これまた鬱蒼とした草木...
奥に進むと、何か人工的な倉庫のようなものが。
立ち入り禁止エリアのギリギリまで近付きます。ここは砲具庫で、部屋が3つ連なっていました。レンガとコンクリートで作られているのでしょうか、100年以上前のものですし、風化してどんどん崩落しているようです。一度も使われなかった大砲跡や、倉庫類がこうして朽ちていく様は儚く、哀愁と美しさを感じました。夏場にきてよかったな。緑と廃墟のコントラストが生と死を現しているような、そんな印象を受けました。そして、ここでもやはりラピュタ感です。今回巡った函館要塞の中で、薬師山砲台が一番好きだわ。
薬師山砲台跡では砲座跡や見張所を見学したのですが、あたりの石垣がどうも歪んで見えました。
函館山ふれあいセンターの職員さん曰く、去年あたりからこの石垣も崩れ始めているんだそうです。石垣上部だけ手前にせり出してきています。この調子だと、もしかすると近い将来には薬師山砲台跡も見学できなくなるかもしれませんね。または、この景色も崩落とともに変わってしてしまうかもしれません。そうなる前に来れてよかったな。
薬師山コースから旧登山道へ戻り、無事に下山。
さあ、あとは下山するのみ。獣道な薬師山コースから、歩きやすい旧登山道に戻り下山していきます。
様々な要塞を見れたことの興奮と、楽しかった見学が終わってしまう寂しさが入り混じり、複雑な気持ちです。これは下山途中に撮影した函館山の眺め。函館山は夜景が有名ですが、晴れた日中の景色もオススメです。
こちらも下山途中に見た山肌。岩場に生える植物の生命力をおすそ分けされたい。
スギの木がいっぱいの旧登山道に入ると、他の登山客もいっきに増えます。函館要塞を目指すルートは登山客がほぼいませんでした。植物や野鳥の観察を目的とした歩きやすいルートは年配の方に人気なんだそうです。ちなみに函館山って、夏場だけでなく積雪のある真冬でも登れる山なんだって!一面真っ白な雪山を登るのも、悪くないなぁ。そんなことを考えながら、13時半に函館山ふれあいセンターに戻りました。
四季折々の植物・生き物を観察。
今回は函館要塞を目的とした登山でしたが、途中でいくつもの植物を教えてもらいました。函館山は四季に合わせて、その豊かな自然を楽しむことができます。北海道の中でも道南の温暖な気候の他、明治から終戦までの約半世紀に渡り、一般人の入山が禁止されたことが動植物にとっては良い環境だったんですね。現在も600種類の植物があり、その7割が本州北部地域と同種とされています。今回は8月の夏の終わりから秋の始まりにかけての植物を記録しておきます。
この美しい紫色の花は、トリカブト。確かに、昔「函館山には猛毒のトリカブトがある」と聞いた記憶があります。が、こんなに手の届く場所にあるとは... しかも花の色も、この曲線も美しい。
こちらはヒヨドリバナで羽を休めるアサギマダラという蝶。アサギマダラは旅する蝶だそうで、飛行距離は2000kmにも達すると聞いて驚きました。海を越えて南下し、越冬する成虫もいるそうです。この蝶が函館山に来るのは6月前後と8月頃だったかな。この蝶を探す登山者と何度もすれ違いました。前知識がないわたしですが、ちょうどいいタイミングで登山できてラッキーだったな。
こちらの小さく黄色い花は、キンミズヒキだったかな。
こちらはコスモスのようでコスモスではない、シラヤマギク。
下を向いて可愛いホツツジという花だが、毒を持っているらしい。触らぬが仏。
これは、なんだったかなぁ。函館山ふれあいセンターの方は植物に詳しく、見てすぐにパッパッと教えてくれるのですが、処理能力の低いわたしは情報をストックすることができません。
こちらは面白い形の、ハナイカダ。葉の上に花をつける植物で、このポチッと丸いものは受粉後の実だそうです。こんな形の植物があるんですねぇ。
今回は野鳥にフィーチャーしていませんが、函館山に生息する野鳥もいるそうですし、津軽海峡を通過する渡り鳥の休息地ともなっているんだそうです。実に150種もの野鳥を観測できるんだとか。今度は野鳥目的で登山するのも楽しそうだな。
まとめ
ということで、小学生の時の遠足で訪れた函館要塞跡に行ってきました。函館山って100年くらい前は軍事的に使われていて、写真や地図からも消されていたり、一般人が立ち入れなかったりしていたんですね。函館のシンボルである函館山に、戦時中に作られたものが残っていることがとても興味深く思います。おそらく小学生時のわたしも、今と変わらない気持ちだったから、たった一度訪れただけの場所なのに強烈に覚えていたんだろうな。あの地下壕と、そこに向かう階段。当時見た風景は、30年近く経過したいまも脳裏に焼きついているのです。
今回の工程では、現時点で見に行ける軍事要塞跡6箇所のうち、5箇所を見てまわりました。登り始めが10時過ぎ、戻って来たのが13時半。函館山を3時間半、10キロ弱歩きました。函館の短い夏を函館山登山で楽しむのは、非常にリフレッシュになりました。緑の中を歩き回るって大事!
今回お世話になった函館山ふれあいセンターに問い合わせた時、「ブラタモリを見ました?」と聞かれました。いや、そもそもブラタモリで函館要塞を取り上げていたことを知らなかったんです。放送は2015年だったそうで、テレビで流れて以来、函館要塞を見学したいリクエストが時折あるそうです。さすがブラタモリ、なかなかマニアックな名所を突いてくるなぁ。
そんな感じで、函館要塞跡に行くこともできたし、小学生の時に訪れた場所が御殿山第二砲台跡だったこともわかりました。わたしの過去を回収できて満足です。まだ巡れていない要塞跡もあるし、調べているうちに更に興味が湧いたので、またいつか函館山探索したいです。生まれ育った地元を再発見するのはとても楽しい!
終わり。
住所:〒040-0044 北海道函館市青柳町6−12
(*・ω・)つ 北海道食べ歩き情報もどうぞー♩