函館に帰省していた間に、青森県の大間を訪れました。大間はマグロの一本釣りで有名な漁師町。津軽海峡を隔て、函館からわずか18kmしか離れていない場所にあります。この写真は、函館山の麓にある立待岬から、本州最北端の下北半島撮影したもの。天気の良い日には、こうして函館市内から大間を眺めることができます。
こんなに近いのに、大間を知らないということが何となくひっかかり、自分の足で訪れることにしました。今回は大間への移動で利用した津軽海峡フェリー「大函丸」のレビューです。
函館〜大間移動のフェリー「大函丸」に乗ってきた。
今回は函館を9時半に出発し、大間へ11時着の「大函丸」というフェリーに乗って移動しました。ここから先は往路のフェリーの様子についてまとめます。
出発地・函館フェリーターミナルと、出発までの過ごし方。
津軽海峡フェリーの函館フェリーターミナルは函館市の端の方、国道227号線を北斗市に向かって進むと、かなり北斗市よりの場所にあります。このマップにはJR五稜郭駅が乗っていますが、3.5kmの距離があります。歩いて数分、というわけにはいきません。市内の主要駅・空港から路線バスやシャトルバスがあるようですが、本数も少ないですし、タクシー移動をオススメします。
こちらが函館フェリーターミナル。フェリーって古臭いイメージを持っていたので、フェリー乗り場もそれ相応の古さかと思ってたんです。しかし、予想外にも新しい建物で驚きました。
函館フェリーターミナル内に入ってみると、4階までの吹き抜けのエントランス。とても広々としていて、開放的です。朝8時頃のフェリー乗り場なので、そんなに人がいないだろうと思っていたら、年齢・性別・国籍問わずお客さんがいたので、ここでも驚きました。お盆のだったからかも。
わたしは乗船するフェリーを電話予約していたので、まずはカウンターでチェックインを済ませます。
チェックインを済ませた後、函館フェリーターミナル内を探索です。ターミナルは4階建てですが、実質使われているのは3階まで。
まずは、函館フェリーターミナル1階をチェックです。こちらはお土産屋さんの「ギフトショップ レラ」。函館市内だけではなく、北海道内の有名なお土産が揃っています。
こちらは売店の「SEAちゃん」。それほど品揃えは多くありません。新幹線のキヨスク的存在です。津軽海峡フェリーのオリジナルグッズも販売しています。
お食事どころは「海峡日和」だけです。いくら丼やオリジナルピザ、天然岩のり定食、ラーメンサラダなど北海道らしい食事の他、カレー、うどん、そばなどの一般的な食堂メニューが並びます。白い恋人のソフトクリームもありました。
こちらは2階のラウンジ。全然人がいません。奥にキッズコーナーもありますが、遊んでいるこどもは1人もおらず。朝だからかなぁ。
2階の一角に、電源のあるカウンターテーブルがありました。ここでPC作業をしながら待ちます。館内のフリーWi-Fiは捕まえられなかったので、iPhoneでテザリングしました。
窓の外には、大函丸が到着しています。フェリーターミナル内では、乗船案内が逐一放送されています。なので、館内にいれば乗船開始などのお知らせを受けることができます。今回乗った大函丸の出発時刻は9時半ですが、徒歩で乗船する人の中には8時半頃から並んでいる人がいました。そこまで混雑もしていないだろうから、乗船案内があってから並べばいいかな〜なんて思ったのは、フェリー慣れしていないシロウトの発想だと後から思いました。これについては、後ほど...
大函丸で行く、大間まで90分の航路。
朝9時半出発の大函丸の徒歩乗船が開始すると館内放送が流れました。1階の徒歩乗船場所へ向かいます。大間に到着するまでの90分の航海の始まりです。
フェリーへ乗船する
乗り場に行くと、既に長蛇の列。時折強い雨が降る中、足早にフェリーへ向かいます。
わたしが乗船したのは、8月16日。津軽海峡フェリーは日程によって乗船運賃が3段階に分かれています。この日はC日程で函館〜大間の片道定価は2600円でした。が、事前にコンビニでi.JTBチケットを購入しておけば、乗船運賃が15%オフで購入できるため、2210円で乗船しました。この割引チケットは、人だけでなく乗用車も15%オフが適用になります。車は特に割引金額が大きいですから、事前にコンビニに立ち寄って購入しておきたいところ。
このチケットを提示しつつ、フェリーの中へ向かいます。
既に積み終わっている車の横を抜けて、客室へと向かいます。
車輛階からは、エスカレーターで移動でした。
船内設備や客室(スタンダード・カジュアルシート・ファーストシート)など。
大函丸は3階構造になっていて、1階は車輛スペース、2・3階が客室となっています。
客室はいくつかに分かれています。誰でも入れるスタンダードの他、女性専用のレディースルーム、お子さん連れ用のファミリールームがありました。車輌運賃を支払えば、運転者1名はスタンダードに乗船できますが、ドライバー専用の客室もあります。あとは赤ちゃんルームという名の授乳室。それからドッグルームもありました。
スタンダード
スタンダードの客席は、2階に2箇所、3階に1箇所あります。ここはいわゆる二等客室で、座席指定ではありません。大広間に雑魚寝したり、適当に空き場所を見つけて、到着までの時間を過ごします。寄りかかれる壁側が人気なようで、すぐに埋まっていきます。
フェリー慣れしていないわたしは、場所取りをする前に船内探索へ出てしまい、この後しばらく彷徨うハメに。この経験から、フェリーではどこに座るか決めてから、船内をウロつかねばいかんと思いました。だから出発のだいぶ前から乗船の列ができていたのね...
カジュアルシート
カジュアルシートは、2階にある座席付きの客席です。ここは20席限定で、座席は有料となっています。スタンダードとの差額は500円程度なので、焦って自分のスペースを抑えるとかしたくない方は、こちらの利用がよいかもしれません。進行方向に向かって座席があるので、船酔いしにくいかと思います。
ファーストシート
大函丸にはファーストシートもありました。こちらは12席限定。カジュアルシートよりグレードの高い座席なんだとか。スタンダードとの差額はシーズンによって異なりますが、繁忙期でも+1000円程度です。わずか90分の航路ですが、ここでゆっくり過ごすのも悪くなさそう。こちらも進行方向に向かって座るので、船酔いしにくいと思います。
フリースペース
スタンダードの価格で座席に座りたいなら、こちらのフリースペースを利用しましょう。ただし、席によっては進行方向に背を向けたり横を向いての着席になるので、船酔いしてしまうかも。どんな荒波にも負けないようイスが床に繋がれていて、若干使いにくかったです。ここも割と人気の場所なのか、すぐに満席になっていました。ちなみに、このテーブルは大間で一本釣りされるマグロがモチーフです。
バリアフリールーム
バリアフリールームは、この場所を必要としている人だけに解放される客室です。イメージとしては、電車やバスなどのプライオリティシートと言えばわかりやすいでしょうか。ここを利用するには、オプション料金は不要なようです。但し、大函丸のスタッフに許可を取る必要があると、客間の入り口に注意書きがありました。こんな場所があるなんて、驚きました。航海中の船内は非常に閉ざされた空間なので、誰しもが安心して利用できるのは嬉しいことです。
赤ちゃんルーム
こども向けのサービスとして、いわゆる授乳室のような赤ちゃんルームもあります。この赤ちゃんルームは、家族向けに用意されたスタンダード客室・ファミリールームの真横にあり、それぞれの部屋を出入りしやすい配置になっています。おむつ交換台やベビーチェアの設置がありました。シンクもあるので手洗いや飲み残したミルクを流すこともできます。
ドッグルーム
さらに驚いたのは、こちらのドッグルーム。利用料は820円です。
フェリーを使って犬を輸送する人が、そんなにいるの?!と驚いたのですが、確かにいるんです。復路で見かけたのは、中型犬を預けている家族。部屋の中で愛犬と一緒に過ごすこともできるし、ケージがあるので預けておくこともできます。わたしだったら、中で一緒に過ごしちゃうな。
食べ物や買い物も購入可能。
大函丸の中には売店や自販機があります。ガッツリ飯はありませんが、軽食やおやつ、ソフトドリンク、お酒が販売されていました。カップ酒を2つも飲んでいたおっちゃんがいて、フェリー利用層ってこんな感じ?!と驚きました。否、一部の利用者だけだと思います...
荷物は客室でもいいし、ロッカーに預けてもいい。
荷物を預けるロッカーも3サイズで用意されていました。大函丸は90分の航路なので、荷物の預け入れをする人は少く、客室に持ち込んでいる人が多かったです。でもロッカーがあると何かと重宝するので、知っていて損はないですね。
航海中の過ごし方。
出港後、フェリー内をぐるぐるしている間に3階のスタンダードに若干のスペースを見つけました。そこを拠点とすることにします。津軽海峡を渡りながら、まずしたことは腹ごしらえ。おかん特製のホットサンドです。裏庭で採れた生バジルがいい感じでした。
食後はPC作業タイムです。なんせ、函館フェリーターミナルに「ドコモなら津軽海峡の移動中でも電波が通じる」というポスターが貼られていたのです。ドコモきたこれ。お陰様で往復共にテザリングしながらPC作業に勤しみました。もちろんネット回線が重くなることなく、快適。
スタンダードの客室は、何箇所かに電源が設けられています。そこを使わせてもらって、充電することも可能です。わたしは電源から遠いところに座っていたので、下船のために人が少なくなった頃から下船時間ギリギリまで充電させてもらいました。
荒波の津軽海峡を経て、大間に到着。
たった90分の海の旅とはいえ、この日の津軽海峡はかなり荒れ狂っていました。かなり波の高さがあり、船ごと上下に揺さぶられることが繰り返されました。3階のスタンダードにいたのに、窓に何度も潮をかぶります。そのせいで塩がつき、窓の外が見えにくくなっています。
航海中、客室から人がどんどんいなくなるので何故かなーと思ったら、船酔いした人が狭い客室から出て行ってたんですね... 船酔いに強いと思われるわたしも、PC作業をしていたこともあって、若干酔いました。客室内に設置されたエチケット袋、そこにいるだけで安心感。
大間に到着したのは11時。下船の時間になると、ボーディング乗船口への行列ができます。皆さん慣れっこだなぁ。
函館を出発するときとは異なり、ボーディングブリッジを使って陸に上がりました。
到着地・大間フェリーターミナルについて。
函館から90分、荒波にまみれた往路は大変な航海でしたが、無事に大間フェリーターミナルに到着です。大間フェリーターミナルは、本州最北の大間崎から少し南に位置しています。
大間フェリーターミナル付近には、本当に何もなく... 寂れた漁港とさみしい色の海があるだけです。ただ、それは、わたしにとって落ち着く風景で、どこか道南の漁師町にありそうな風景に思いました。それと、函館と同様、施設が新しいことも印象的でした。
こちらは大間フェリーターミナルのチェックインカウンター。
待合席は函館フェリーターミナルと比べるととても小さいです。
売店には大間や青森らしいお土産品が並んでいます。売店の専属店員さんはこの日はおらず、隣の食堂の方にお会計をお願いする仕様になっていました。
大間はマグロの一本釣りが有名な町なだけあって、天井から大きなマグロが吊り下げられていました。
フェリーに乗車する時もボーディングブリッジを使います。2時間くらい前にはチラホラ集まり始め、1時間前には20人くらいの列ができていました。フェリーに乗船するなら、早めに並び、早めに客室に到着し、陣取りすることをおすすめします。
東北の移動は車が必須!大間唯一のレンタカー屋さんへ向かう。
大間に無事に到着したものの、足がありません。JRや地下鉄、バスなどが便利なのは日本の中の極一部で、北海道や東北のように土地が広々としている場所では車が一番便利な交通手段となります。出産を機に車の運転の特訓をしたわたしは、今回初めて旅先でレンタカーを借りることにしました。フェリー乗り場から歩いて数分のところにある「オリックスレンタカー大間フェリー埠頭店」は、大間で唯一の大手レンタカー屋さん。迷うことなく、ここにお世話になりました。
利用の1ヶ月前に予約を入れました。荷物の少ないひとり旅だし、東北の港町を走り回るなら小回りが利く方が便利だろうと、軽自動車を予約。当日、ダイハツのムーブが用意されていました。
料金は、繁忙期ということもあってか、オリックスレンタカー公式サイトで29時間利用で12000円オーバー。でも、予約サイトの「たびらいレンタカー」だと同じく29時間利用で9350円でした。公式サイトではオプションとなっている免責保証制度(CDW)が、たびらいレンタカーでは標準装備になっているし、早割も適用されたので、公式サイトよりも実質25%近く安くなっています。こんな過疎ってる場所でも安く予約できて、ありがたし。
天候が悪い日程だったことと、アクセスが車に偏ってる東北の奥地では、ほんとにレンタカーが重宝しました。借りていた29時間のうち、18時間くらいは停車してたけれど、217キロも走ったので大満足です。
まとめ
ということで、函館から津軽海峡フェリー「大函丸」に乗って、大間へ行ってきました。行きは悪天候で船酔いしやすい人にとっては非常に厳しい海路でした。しかし、打って変わって復路はかなり穏やかな津軽海峡。まわりには船酔いしてその場を離れる人を見かけませんでした。荒れ狂った姿と穏やかな姿、これがほんとに違うのです。こんな気性の激しい津軽海峡を漁場としているなんて、函館や青森の漁師さんは凄いわ。
出身地・函館の対岸を訪れてみたいと思ったのがきっかけの、大間周辺1泊2日レンタカー旅。メジャーではない行き先ですが、いい時間を過ごせたと思っています。
終わり。
住所:〒039-4601 青森県下北郡大間町大字大間字根田内10番地
(*・ω・)つ 青森食べ歩き情報もどうぞー♩